2022年11月10日
新村毅 博士
東京農業大学 教授
One Welfare実現のためのシステム行動生物学
One Welfareとは、動物と管理者、動物と消費者、動物と地球といったように双方の福祉を満たす方策のことを指す。我々は、One Welfareの実現のため、システム行動生物学的な研究、すなわち、システム生物学を行動学に取り入れ、複雑で動的な行動を1つのシステムとして理解して制御しようとする研究に挑戦している。現在、①行動遺伝育種、②福祉的環境デザイン、③Animal Computer Interactionを3つの大きな柱とし、人と動物の関係性の過去・現在・未来を探るような研究を進めている。
本セミナーでは、まず動物の発声を分子レベルから集団レベルまで横断的に理解し、さらに工学技術を用いて応用しようとする研究を紹介したい。続いて、家畜の攻撃性の遺伝基盤を明らかにし、家畜化の起源を探索しようとする研究について、予備的データと共に紹介したい。