2021年10月29日中濱直之博士

2021年10月29日

中濱 直之 博士

兵庫県立大学・兵庫県立人と自然の博物館

Museomicsから過去の生物多様性を復元する

 国内外の博物館に莫大な量が収蔵されている博物館標本は、これまで主に形態や分布などの情報が主に利用されてきました。近年、博物館標本に含まれる分子情報が注目され、それを研究に活用するMuseomicsが国際的に注目されています。一般に標本DNAは新鮮なサンプルと比べ劣化が激しいことから、従来の手法では解析が非常に難しいという問題がありました。しかし、近年のハイスループットシーケンサーの隆盛とともに、解析が容易になりつつあります。

 演者は特に標本中のDNAに注目し、遺伝的多様性や構造の時間的な変化の解明という、新たな視点を取り入れ、保全遺伝学的研究をしてまいりました。本講演では、これまでに演者らが実施してきた一連のMuseomics研究について紹介するとともに、どのようにすれば遺伝解析を克服できるか、標本の遺伝解析手法「虎の巻」も紹介する予定です。

 

参考文献