2021年1月22日今田弓女博士

2021年1月22日

今田弓女博士

愛媛大学大学院理工学研究科 助教

足元に広がる未知の生態系

−コケ目線で解き明かす植物と昆虫の関係史

私は,「初期の陸上植物は進化の過程で節足動物といかに関わってきたのか」を理解したいと考えています.その手がかりを得るアプローチのひとつとして,コケと昆虫の相互作用について研究してきました.とくに近年,「至高のコケ擬態」の例であるシリブトガガンボ科の生態,機能形態,進化経路を調べています.その幼虫の驚くほどコケに似た姿は1773年にはすでに記載されていましたが,生態についての研究はほとんど行われていませんでした.林床に広がるコケの絨毯は,一見多くの動物を寄せつけない「天敵不在の空間」と表現されることがあります.しかしコケに擬態する昆虫が進化する背景には,じつは複雑な生物間相互作用のネットワークがありそうです.本講演では,森林生態系のなかでコケが果たしてきた役割に光を当てたいと思います.当研究室で最近行っているいくつかの研究について,展望も交えつつお話しする予定です.私は,「初期の陸上植物は進化の過程で節足動物といかに関わってきたのか」を理解したいと考えています.その手がかりを得るアプローチのひとつとして,コケと昆虫の相互作用について研究してきました.とくに近年,「至高のコケ擬態」の例であるシリブトガガンボ科の生態,機能形態,進化経路を調べています.その幼虫の驚くほどコケに似た姿は1773年にはすでに記載されていましたが,生態についての研究はほとんど行われていませんでした.林床に広がるコケの絨毯は,一見多くの動物を寄せつけない「天敵不在の空間」と表現されることがあります.しかしコケに擬態する昆虫が進化する背景には,じつは複雑な生物間相互作用のネットワークがありそうです.本講演では,森林生態系のなかでコケが果たしてきた役割に光を当てたいと思います.当研究室で最近行っているいくつかの研究について,展望も交えつつお話しする予定です.