2020年12月18日
安田仁奈博士
宮崎大学 農学部 海洋生物環境学科
Curiosity-drivenのサンゴ礁研究「ちょっとやってみたかったから」の発見
～オニヒトデから見つかった謎の共生細菌と生きる化石アオサンゴの種分化について～
今回お話させていただく内容は、多くの優れた研究者が行っている俯瞰的視点と深い洞察による独創性の高い仮説検証型の研究、そんな高尚な研究哲学とは程遠い興味本位でなんとなくやりたくなってやってみて、結果面白い世界が広がってきたぞという取り止めのないお話をさせていただきます。
ひとつは、オニヒトデから見つかった謎の共生細菌の話。オニヒトデの全ゲノム解析をしたら見つかった謎の細菌ゲノムを、せっかくだからFISHで光らせてみたら、体表全体をバイオフィルム状に覆う系統的にも全く未知の菌であることが分かったという内容です。今年Wada et al. 2020 Microbiomeに掲載されました。もうひとつは、オニヒトデでつくっていた遺伝子マーカーをアオサンゴでも作ってみたら思いがけず隠蔽種見つけたところを発端とし、生きる化石であるアオサンゴがインド洋太平洋全域で様々な種分化パターンを示していることがわかったという話です。こちらはYasuda et al. 2014 Bull. Mar. Sci.、Yasuda et al. 2015 Mol. Phylogenet. Evol., Richards et al. 2018 Sci. Rep.で掲載された内容、および未発表データを交えてご紹介したいと思います。