2020年11月19日阿部真人博士

2020年11月19日

阿部真人博士

理研AIP

生物の動きにおけるレヴィウォーク

生物において、動くことは普遍的である。では、生物はどのように動くのだろうか?動きにおける法則性はあるのだろうか?近年、レヴィウォークと呼ばれる特殊なランダムウォークが、細胞、昆虫、魚類、鳥類からヒトを含む哺乳類まで、様々な生物の移動パターンに共通していることが明らかになった。これはレヴィウォークが高い餌探索効率を有するがゆえの自然選択の結果であると考えられてきたが、複雑な環境との相互作用から生じる副次的な現象である可能性も示唆されるなど、議論が分かれている。本講演では、レヴィウォーク研究のこれまでを概観したのち、最近私が発表した、臨界現象としてのレヴィウォークの研究についてお話する。その研究では、脳システムが臨界点付近に調整されることでレヴィウォークが創発し、情報処理能といった機能的利点をもつことを数理モデルとデータ解析によって示した。これらの結果をもとに、レヴィウォーク研究や生物の動きの研究のこれからについて議論したい。