2020年10月23日内藤健博士

2020年10月23日

内藤健博士

農研機構 遺伝資源センター

シーケンスなんて日常だぜ

面白い生き物がいたらゲノムを読みたい、というのは万人が望むところであろう。私もその一人だ。野生アズキの多様性と可能性に魅せられた私は、とにかくゲノム解析をしたくて結構なお金を獲ってきた。しかしふと気づいてみると、10年前に1千万円必要だった解析が、今は50万円でできるようになっている。NGS解析と行ったら、DNARNAだけ自分で取って、ライブラリ調整とシーケンスは業者にお任せ、データが納品されたらひたすらPCに向かう…そんな感じだった。でも、全部自分でやるつもりで市場を調査してみると、ライブラリ調整試薬の価格も、1,500円/サンプル程度まで下がってきた。学振や基盤C程度の研究費でも、十分にゲノム解析やトランスクリプトーム解析を展開できる環境が整ってしまったのである。業者にお任せは確かに楽だが、何となく研究から自分が疎外されてしまった感は否めなかった。やっぱりいちばん楽しいのは、自分で手を動かして、自分でデータを取って、そして自分で解析するときである。特に若いうちはそうだ。今回は学生さんも結構聞いてくれるということなので、そんなみなさんをシーケンス沼に引き込むつもりで話したい。もちろん、ワイルドでセクシーな野生アズキの話も交えつつ。