2020年9月25日稲葉靖子博士

2020年9月25日

稲葉靖子博士

宮崎大学 農学部 植物生産環境科学科 准教授

植物の花による熱産生

-「技あり」の研究で挑む発熱植物の世界-

植物の花による発熱には、訪花昆虫の誘引や昆虫との相利共生等、種子植物の生殖機構に絡む主要な役割がある。一般的に、花の温度を外気温に対して0.5℃以上上昇させる能力を持つ植物のことを『発熱植物』と呼び、発熱能力の高い植物では、花の温度が外気温に対して20℃以上も上昇する。これまでに発熱植物として報告された植物の内訳は、約半数が裸子植物のソテツ、残りの被子植物の大部分がサトイモ科植物、一部が、スイレン、モクレン、ハス等となっている。我々は現在、発熱植物の優占種の中で、ソテツ(裸子植物・ソテツ科)とザゼンソウ(被子植物・サトイモ科)という生息環境も植物の分類も大きく異なる2つの植物にフォーカスを当てて研究を進めている。本セミナーでは、発熱植物研究の歴史的経緯から我々が現在取り組んでいる「技あり?」研究およびその展望に至るまで、裏話も交えて、知られざる発熱植物研究の世界を楽しんで頂けたらと思う。