2020年8月7日
石川由希博士
名古屋大学 理学研究科 講師
花に棲むショウジョウバエの訪花選好性とテリトリー行動
動物の行動はどのようなしくみで進化するのだろうか?この謎を解く手がかりは、近年、モデル生物とその近縁種の神経機構を比較するアプローチによって得られつつある。カザリショウジョウバエ(Drosophila elegans)は東アジア〜東南アジアに生息し、訪花行動やテリトリー行動、求愛ダンスなど多くの面白い行動形質を示すショウジョウバエである。カザリショウジョウバエは、モデル生物であるキイロショウジョウバエと近縁であり、またラボでの継代飼育や採卵、野外観察が容易であることから、行動進化の神経基盤を理解する新たなモデル系となることが期待される。本講演では、野外におけるカザリショウジョウバエの訪花選好性とテリトリー行動に関する最新の研究成果を紹介し、この行動進化の神経機構を理解するための試みを議論したい。